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映画 ジョゼと虎と魚たち 感想

 

アニメとしての正しさ、人としての正しさ。

 

ジョゼと虎と魚たち、遅ればせながら観てきました。

 

詳細にネタバレするので注意

 

OPで主人公の恒夫の生活が描かれ、どんな人かわかります。勉強にバイトに一生懸命な大学生。研究がメキシコシティ大学の教授に認められるところで思わず自分の研究を顧みて悲しくなってしまった。

バイト先の女の子(二ノ宮)かわいいな〜ってなる。まさかこれが伏線だとは……

 

そしてジョゼとの出会い。

これこれこれ〜〜♡と嬉しくなってしまいました。ボーイミーツガールしか好きじゃないぜ。出会い方って大事だと思うんです。

女の子が降ってきて抱き止める出会い方は最高です。

男女の出会いはいつも突然、まさにアニメ的正しさ。ああいうイベント的な出逢いが好きです。

いきなり恒夫に噛みつくジョゼにビビった。

お礼を言うのではなく変態と罵るジョゼでさらにきゅんきゅんしてしまう。キャラクターは尖っていればいるほど良いと思うので

 

ジョゼの家でバイトをすることになった恒夫。

このままジョゼのお世話展開かと思いきや、恒夫を正座させたり畳の目を数えさせたりするのも良いですよね。

これまでこういう系の話って病弱ないわゆる深窓のお嬢様、みたいなキャラが多かったと思うのですが、強気なジョゼというキャラ付けはなかなかに斬新で良かったです。

 

あと管理人って呼び方に考えさせられます。文字通り介助人としてジョゼを「管理」する存在としてという意味なのかな……と少し物憂げなことを考えましたがそれは杞憂、海に始まり様々なところで見せる笑顔に「ジョゼ、良かったね……」と思わずホロリとしてしまいます

 

砂浜でお姫様抱っこするシーン、作画!って感じで良かったですね。作中屈指の名シーンなので、後で再び回想として出てきた時は嬉しかった。

 

図書館がジョゼにとって大事な場所になるのも良い。

図書館って公的な空間なんだけど街中のような人混みとは異なって落ち着いてて、それでいて人の触れ合いもあって、アニメの舞台として好きな場所なんですよね。

 

一方恒夫は留学と奨学金が決まりまさに順風満帆……とはならず、バイト先を見たいとジョゼが言ったことで一気に事態が不穏な感じに。

 

これは流石に恒夫と舞が悪いよね……

アニメ的な話をすると、ここの舞の「私にできることあったらなんでも言ってください」っていう舞のセリフに注目。体の不自由な人に対する紋切型の常套句を考え無しに言っている感じがとても良く表現できてて完成度高いなと思った。

これはジョゼが不機嫌になるのも無理はないです。

 

恒夫が仲直りにクラリオンエンゼルのランプを作るシーン。

アニメを観る時、主に主人公について自分ならどう行動するかみたいなことを考えるんですけど、自分は多分こういうイケメン行為できないよなあってなる。

恒夫、イケメンだし性格良いし頭良いしムキムキだし完璧すぎて凄すぎ。大尊敬。

 

面接官「尊敬する人物は誰ですか?」

ぼく「鈴川恒夫です!」

面接官「わかる」

社長「うーん、採用!」

 

そして唐突に死ぬおばあちゃん。あまりに突然すぎてえ、本当に死んだの?って声が出そうになった(映画館では静かに)

 

あと、二ノ宮舞とかいうキャラね。

最初出てきた時から恒夫のこと好きそうっていうのはわかったしその時は顔良女子キャラで好き〜って思ったんだけど、そのあと私服とかを見るとなんか苦手な女子のタイプっぽいな……🤔ってなった。ピアスして足出してキャップ被るタイプの女子怖いんですよね……オタクなので。

そしてこのなんとなく好かないという予感は後で的中しました。

でも水着は普通にえっちだと思った。

 

いや、わざわざジョゼを探して「恒夫さんを自由にしてください」って言いに行く女怖すぎるでしょ……

完全にジョゼの味方なので奥歯を噛み締めて観てた。

「お前何言うてんねん!」「気にせんといてな」ってフォローする隼人いいやつ。チャラ男が良いやつだと五割増に良いやつに感じる。人として正しい。

 

ジョゼの「最後の仕事や」でとても切なくなってしまった。アニメに合わせたような曇り空。

波打ち際まで行かないジョゼ。

恒夫が温かいもの買おうか?と聞いても断るジョゼ。

 

ジョゼ…………

 

この辺観ててめっちゃ辛かった。

運命的に出逢った2人だけど、その関係性を繋ぐものは本当に僅かなもので、お金の切れ目が……とは信じたくないけれど、この作品あまりにリアルなのでそういう最悪の展開になってしまってジョゼがひとりぼっちになるんじゃないかと思って気が気でなかった。

 

そして急展開。

「虎」が恒夫に襲いかかります。雨を心象描写だけでなく車のスリップにも用いるの、巧み。

ここで恒夫死んだかと思って焦った。流石にそんなことはなかった。

 

こういう、「もしかしたら……」って視聴者に最悪の事態を想像させて少しだけ救いを出すのが上手いですねこのアニメ。

ジョゼの絶望表情でこっちまで同じ顔になってしまう。

 

留学ばかりでなく、泳ぐ夢まで断たれる恒夫。

そして責任を感じて塞ぎ込むジョゼ。

目覚めて開口一番にジョゼの心配をする恒夫で完全に恒夫〜〜〜😭ってなった。イケメンすぎか?

 

ジョゼの家まで行く舞怖すぎでしょ……

玄関バンバン叩くのヤバすぎる。

でもここで負けじと恒夫の良い所を言い返したジョゼに成長を感じてよかった。まるで駅でジョゼにもぶつかったあのリーマンに怒鳴り返した一般通行おばちゃんのごとく。

こういう過去のシーンを思い出させるようなのが上手いアニメ好き。気づけるかどうかは視聴解像度次第だけど、それだけ真剣に観れるくらい良いアニメだってことだよね。

さしもの舞も負けを悟ったのではないでしょうか。

 

ジョゼと隼人、お互いに「ジョゼ子ちゃん」「茶髪」って呼ぶの独特な関係っぽくて良い。こういうメインから外れた関係性みたいなのを大事にしていきたい派

ジョゼ子って呼び方可愛いよね……僕もジョゼ子って呼んで良いですか?

 

ここからジョゼが絵本を作る展開。

絵本の内容がかなり直接的に恒夫な所が逆に良い。

こういう大事なところはあえてぼかしたりとかしないで直球勝負してくれるの、アニメ的に正しい。

 

絵本のシーンでもう耐えられなかった。決壊。

正確には絵本のシーンは耐えたんだけど、その後の恒夫のジョゼとの楽しかった思い出の回想シーンであああ〜〜〜 (´∩ω∩`*)ってなりましたね。恒夫も泣いてたけどあれは僕の涙ですよ。

 

一念発起してリハビリに励む恒夫。

舞が良い感じのキャラにジョブチェンジしてた。僕としてももう恒夫争奪戦はジョゼの勝利だとわかっているので、もはや舞は恩赦でしたね。

 

……でもここで終わらないのがジョゼと虎と魚たちなんですよ!

クリスマスの日、退院する恒夫の前にジョゼが現れません。

家にもおらず、総動員の捜索が行われます。ハラハラする。

アニメの話をすると、クリスマスという特別な日に失踪イベントが入るのでめちゃくちゃエモいですよね。脚本上手すぎか?

 

最初虎とジョゼが映った時、ここに恒夫が現れるパターンかと思ったんですよ。しかしそれは素人の浅知恵。違いました。恒夫が虎の前に来た時、既にジョゼはいません。

次に車椅子の車輪の跡を追うシーンを観て、なるほどあの桜並木のところでジョゼに追いつくのか?と思いました。しかしこれも外れ。横断歩道で足取りが不明になります。

 

そして、あの坂道!

坂道が出てきた時、やられた〜〜〜!となりましたね。天才すぎ

この時の僕の感情具合が伝わるでしょうか。キタキタキタ!って感じですよ!

 

そして一般通行人がジョゼにぶつかる!

車椅子が動き出す! ブレーキが効かない! 投げ出されるジョゼ! 

そして…………

 

つ、恒夫〜〜〜〜〜〜!!!

 

やってくれました。

さすが恒夫。期待に応えてくれる。

 

いや〜 これがアニメとしての正しさですよ。

ジョゼ虎はいつだって正解を示してくれます。こういう脚本が観たいんですよ。来てほしいと思ったところに160kmストレートを投げてくれる脚本が。

 

思わず声が出ましたね。

 

そして……

 

キス。

正解すぎ。

 

ここまでキスする資格のあるカップルがアニメ史上かつてあっただろうか。

 

EDで全てが綺麗にまとまるのも良いですね。読後感って大事。

ジョゼが事務の仕事に四苦八苦してるところとか。いろいろ想像が膨らみますね。アナログの妖精やぁ……

 

そしてCパート。

ジョゼが来年恒夫を連れてきてやると言った、そして恒夫が留学のことを言えなかったあの桜並木。

春休みには帰って来れるのか〜ってなった。

つながっている安心感ですよ。多分EDで携帯を2人が見ているシーンがあったので連絡取り合ってるんでしょうね。良いね。

 

最後にジョゼのスケッチが…………

 

 

いや〜

ジョゼと虎と魚たち、100000000点です。

今までで観たアニメ映画の中で一番好き。

こういうアニメが観たいです。

 

夏に出会って、秋に冷めて、冬に燃え上がってクリスマスを迎え、そして春に二人で桜を見る。こういうアニメを見ると日本に四季があって良かった〜ってなりますね。

 

なんというか、キャラクターができる限りの最善手を選び続けて、それでも上手くいかなくて、もがいて、最後は報われてハッピーエンドになるアニメが好き。

それで少しの運命的偶然があるとなお良し。

 

坂道でぶつかる運命的出逢いを、最後に再び回収したところで完全に満足でしたね。

一瞬、受け止める恒夫がいなくて地面に放り出されて、でも一人で立ち上がって生きていく、みたいな展開かもしれないとも思ったけどそんなことはなかった。

ちゃんと期待通りに恒夫が抱き止めてくれました。恒夫〜〜〜

 

正直、最初の方は自分の境遇と重ねてめちゃくちゃ苦い顔で観てたんですよね。

「22歳の夏は一度しか来うへんで」って言われて吐きそうになったし、

「青春全部バイトに捧げる気か?」は青春全部アニメに捧げる気か?って言われてるようで泣きたくなったし、

恒夫の研究は上手くいってるのに自分は全然研究してないし、

エッチな水着着てる女子とダイビングとか人生で一度もしたことないし。

正直しんど……って思いながら観てました。オタクすぎ。

 

でもジョゼが出てきてからはもう完全に物語に没入することができ、気がついたら涙が頬を伝っていました。

 

ボーイミーツガール好きだし、遊んだことない女の子がデートするアニメ(ex.文スト泉鏡花)好きだし、「私の楽しい思い出全部にあの人がいる……」(ex.ブリュンヒルデ黒羽寧子)みたいなのも好きだし、女同士の感情戦(ex.tt湯浅比呂美)も好きだし、とにかく自分の好みを完全に捉えられてました。

そして期待以上に期待通りな脚本。

完璧でした。瑕疵がないアニメ。

 

特に恒夫という人物が良かったですね。

勉強に夢にバイトに真剣で、ジョゼにも優しくて、行動が全て思いやりがあるという人としての正しさ。

ジョゼに突き放されてもランプを作ったりしてあきらめず、最後には松葉杖を投げ捨て走りジョゼを抱き止め、そしてキスするアニメとしての正しさ。

常に正解を提示してくれるジョゼと虎と魚たちという作品は、恒夫の人間的、アニメ的正しさに支えられていたように思います。

 

ジョゼと虎と魚たち、本当に観てよかった。

心に響く良い映画でした。

 

 

 

あたいも一人で虎と戦うんや……

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2021.2.23

 

最近良い映画を観た後は喫茶店で感想をしたためるのがルーティンになりつつあるかも

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(これはアニメ視聴者的に正しくなくて、クレープを食べるべきでした。後で気づいて反省)